「労安法で学校が変わる」
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職場の安全衛生ハンドブックW
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越教組 労安法を進める会
はじめに
N小から、職員への脅迫とも言えるような報告がされています。一般的にハラスメントと言われる行為は、人のうわさにはなるが、なかなか明確な解決は難しい傾向にあると言われています。幸いにもN小では、ある程度の謝罪があり、一定の解決をみたようです。
私たち労安法を進める会でも、この機会に安全衛生の課題としても、セクシャルハラスメント・パワーハラスメントの問題を取り上げようと、ハンドブックを作成することにしました。
9月には、この問題に意欲的に取り組んでいる、東京法律事務所の弁護士の笹山尚人さんにお話をしていただく予定です。パンフレットでイメージできないところは、その学習会で大いに質問をしてください。
なお、このハンドブックの要旨のほとんどは、笹山さんの講演によるところが大きいです。(6月6日いの健センター主催、労働安全衛生中央学校にて)
ハラスメントを相談されたら?
A(1)まず、事実関係をよく聞きましょう。
いつ、誰が、どのように、具体的にどんなことを、それによってどのような影響がでたのか
A(2)大いに共感しましょう。
深刻な被害の場合、治療が必要なケースに至っている場合が多く、何よりもひどさを実感することが救済の第1。
深刻でない場合も、一概に「甘えている」と決めつけないこと。
A(3)被害者に自覚を持たせましょう。
まず被害者自身に安全と健康を確保する必要性を理解させること
・一人で抱え込ます、家族や友人(我々の場合組合員)に相談を常に行うこと
・必要なら医師への診療通院
・これも必要ならば職場からの離脱
・使用者や加害者への通告や交渉
(組合員あるいは衛生推進者として、同席も)
Q2確認しておくことは?
A(1)事実関係を確認しましょう。
・いつ、誰が、どこで、誰に対し、どのような言動を行ったか。
・できるだけ正確に再現して
・証拠はあるかーメモ、メール、録音、留守番電話…
A(2)本人による証拠化をしましょう。
・あったことをメモに作成する
・その後進行したことを証拠化する
A(3)関係者からの事実関係も証拠化しましょう。
・いじめには多数の人が関わっていることがある
・証拠を集める努力を
A(4)医師の診断書も必要なら取っておきましょう。
・被害に関する証拠として、医師の診断書も
Q3相談を聴いたら何をしたらいいか?
A.まず大切なことは忽然とした中止の要求です。
・加害者本人、そして管理職にも
・公然化は、原則としていじめを探知したらすぐに
メンタルヘルス被害拡大を防ぐ
Q4被害が拡大されそうならどうする?
A.職場離脱を進めましょう。
・年休の取得
・場合によっては休職
Q5管理職にはどう対応したらいいか?
A.加害者の上司に対する要請として交渉しましょう。
(1)在職中の場合
・事実確認の要請
・加害行為の中止の要請
・加害者と被害者の分離措置
・管理職としての謝罪、加害者への謝罪命令
(2)いじめを起こさない環境づくり
・ハラスメントを生まない風土づくり
・管理職の予防策の表明
・告発しやすい通報制度
・長時間労働をなくしていくこと
(3)管理職が動かない、又は管理職自身が加害者の場合
・市教委(=事業者)へ要望する
・市教委へも予防策を表明させる
Q6法的な手段に訴えるには?
A.いろいろな選択肢があります。
(1)弁護士会の斡旋、裁判所の民事調停
・斡旋―言い分が食い違うときには、全く役に立たない
・差し止め仮処分―非常にハードルが高い
(2)訴訟
・損害賠償請求が中心
・和解手続きの中で、補償以外の要求(謝罪、原因の除去)を協議
(3)労働審判
・行為をやめさせる。発生原因の除去、謝罪の可能性
・解決の柔軟性、迅速性あり
(4) 労災
・精神疾患、自殺などの場合に使用
※
労働審判をお薦め。被害が重篤な場合、訴訟も選択すべし。精神疾患のケースの場合は、労災も同時に追求。
Q7救済の法律は?
(1)加害者との関係では
・不法行為責任(民法709条)
・刑事上の責任追及
(2)加害者を雇用する市教委の責任
@不法行為責任(民法715条)
A安全配慮義務
B職場環境配慮義務の反映といえる法令の規定
労働者派遣法第34条、労働者派遣法第45条
C労働契約法第3条、第5条
D職場環境配慮義務違反の効果
(3)加害者と市教委の関係
懲戒処分
Q8いじめ・嫌がらせの法令上の考えは?
A.●セクシャルハラスメントとは
・相手方の意に反する性的言動
・環境型―労働環境や就業環境に著しく悪い影響を与える性的言動
・対価型―職務上の地位や権限を利用して、不利益や利益を与える性的言動
↓
雇用機会均等法第11条
事業主はセクハラがないように雇用管理上必要な配慮をしなければならない。
その他、労働者派遣法第47条の2
●パワーハラスメントとは
「職場において、地位や人間関係で弱い立場の労働者に対して、精神的又は身体的な苦痛を与えることにより、結果的に労働者の働く権利を侵害し、職場環境を悪化させる行為」
↓
明確な法的な規定はない
Q9法規定がないのに罰せられるの?
A.人格権の侵害となります。
「生命、身体、事由、名誉のような人格と切り離すことができない利益を内容とする権利」
・法令上の根拠:憲法第13条